病院の待ち時間に対する利用者の不満と軽減方法について
目次
病院の待ち時間に不満を感じる患者は多い
厚生労働省の「平成29年度受療行動調査の概況」によると、外来患者の診察等までの待ち時間は15分未満が26.1%と最も多く、1時間未満が全体の約70%となりました。 待ち時間が30分を超えると患者さんはストレスを感じ始めるという統計結果もあり、依然として患者さんのクリニックへの不満は圧倒的に「待ち時間」に集中しているのが現状です。 本記事では待ち時間が長いという患者さんの不満が生じる原因と、待ち時間短縮への糸口を探っていきます。
待ち時間が長くなる理由
待ち時間が長くなる理由を見ていきましょう
時間帯によって患者が集中しやすい
朝や昼休みの前後、夕方といった時間帯は、働いている人も訪れるため患者さんが集中します。 なぜ患者さんの待ち時間が発生するのでしょうか。 ひとつには「患者過集中の時間」があるからなのです。 体調が悪くすぐみて欲しい人は朝一番に、会社員など昼休みや仕事後に行きたいという人は、昼休み前後か診察時間終了間際に駆け込むでしょう。 1日のうち主に、受付開始後、昼休み、終了間際の3つの時間が患者さんの過集中する時間帯となり、待ち時間は必然的に長くなってしまいます。
カルテの作成や検査の結果待ちに時間がかかる
待ち時間ができる原因として考えられる3つ目は、検査をした場合、結果が出るまでに時間がかかること、初診の場合はカルテ作りに時間がかかるなど、必要不可欠な作業に時間を要することがあげられます。 採血は結果が出るまでに最速でも30分、毎回採血が必要な方は、診療や会計待ちの時間に加えて、検査結果待ちの時間もかかってくるでしょう。 レントゲンや他の検査も合わせて必要な場合には、さらに待つ必要があります。
待ち時間を解消する方法
医療にはどうしても待ち時間が必要な背景があるものの、少しでも患者さんの待ち時間不満を軽減するために病院ができることはなにか、最善の方法を考えていきます。
紹介状の利用やかかりつけ医の推進をする
大病院の待ち時間は特に長いという印象がありませんか。 本来なら地域のかかりつけ医ですむ症状の患者が、設備が整い、専門の医師がそろっている総合病院なら何にでも対応してくれるだろうと来院することで患者数が増加し、比例して待ち時間も増加してしまうことがその原因です。 こうした総合病院への集中を防ぐため、病院の機能分化が推進されています。 第一次的な医療は地域の開業医が行い、紹介状を得た患者のみ総合病院へ行く「かかりつけ医の推進」「紹介状の義務化」を定着させることで大病院の外来患者の削減、待ち時間の短縮に繋がります。
オペレーションの改善
病院自体のオペレーションを改善して待ち時間を減らす方法です。 病院は診察までの時間のみを「待ち時間」とせず、会計が終了するまでの患者さんの滞在時間を見る必要があります。 診察、検査、処置、カルテの制作など、患者さんは診療の合い間にそれぞれ発生する待ち時間をトータルで待ち時間と感じています。 時間ロスのないスムーズな流れを作ることができているか、病院全体のオペレーションの見直しと改善が、待ち時間短縮を可能にするのです。
予約制度の導入
特定の時間枠に診察できる人数を一定にすることで、来院患者数を平準化させることができます。 こうした予約制度を取り入れれば待ち時間短縮が推進されるでしょう。 予約制によって受付作業が増えないよう、予約がWEB上で完結するシステムを導入することが一層の効率化を図ります。
自動受付ツールの導入
病院で待つ時間そのものを減らすことで、待ち時間へのストレスは大幅に減ります。 「どこでもマテル」のような自動受付ツールを導入することで、患者さんは携帯もしくは、来院しタッチパネルを押して簡単にセルフ予約でき、呼び出しのお知らせが届くまで好きな場所で過ごせるため待ち時間へのイライラがなくなります。 ほかにも以下のようなメリットが得られます。
- 院内の混雑緩和
- 待ち時間が長くなることへのクレーム低減
- 混雑対応、苦情対応で生じていた作業ミスが減少
このように病院スタッフの負担も劇的に解消され、他作業に時間が使えるようになるなど、効率化が促進されます。
まとめ
待ち時間が長くなる原因を明らかにしてみると、対策が見えてきます。 地域の開業医と総合病院の機能分化で外来患者の過集中を防ぐ、予約制度にして時間帯による患者集中を平準化、自動予約ツールの導入で院内待ち時間をなくすなど、病院が待ち時間対策へ積極的に取り組むことで劇的改善が見込めるでしょう。
参考サイト
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=58021?site=nli 「待ち時間は患者の最大の不満足ポイント」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/17/dl/kekka-gaiyo.pdf 「(3)項目別満足度」 https://clinicstation.jp/topics/5036/ 「患者さんの待ち時間増加のメカニズムを考える」 https://toyokeizai.net/articles/-/157392?page=2 「全体を参照」 https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/011000038/062000038/ 「なぜこれほど待つのか?」 https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=58021&pno=2?site=nli 「(1)紹介状の義務化」 「(2)かかりつけ医制の推進」 https://clinicstation.jp/topics/5036/ 「待ち時間対策に有効な「オペレーション改善」とは」 https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=58021&pno=2?site=nli https://materu.jp/「予約制の導入」