医療機関でクレームが増えている理由と適切な対応や改善方法について
目次
医療機関でのクレームが増えている背景
医療現場を舞台にしたドラマや健康番組が人気を博し、医療に対する知識が多くの人に浸透して「医師の言うことをそのまま鵜呑みにしてはいけない」という患者の権利意識が芽生えてきたこと。 実際に相次ぐ医療事故の報道によって、医療機関への不信感が高まっていること。 そうした背景から、医療機関へのクレームは増加の一途をたどっており、多くのクリニックは患者さんからのクレーム対応に頭を悩ませています。
クレーム対応で押さえておきたいポイント
クレームを受けた際に、患者さんの「怒り」にどのように対応すればいいのでしょうか。 火に油を注いで事態が悪化しないよう、患者さんの怒りをおさめ、事態を収束する対応のポイントをおさえておきましょう。
お客さま(患者さん)の気持ちを理解すること
患者さんの怒りを受けて、スタッフまでもが感情的になることは最も避けたい事態です。 冷静に対応するために以下の3つの点を意識しましょう。
- 先入観を持たずに話を聞く
- 患者さんの置かれた状況とその際の感情を確認する
- 会計や支払い内容に疑問や不満がある
- 途中で言葉をはさまず最後まで聞く
「スタッフの対応が悪かった」とクレームが来た場合、「そんな対応をするスタッフはいない気がする」「患者の聞き間違い、思い違いなのでは?」とスタッフが先入観を持ちつつ話を聞くと、患者さんにもその思いが伝わり、「私の言うことをまともに聞いていない」と余計に反発心を煽る事態になりかねません。 話を聞く際に重視すべきは、先入観を持たずに患者さんが置かれた状況、感じた不快感や不満を一旦全部受け入れることです。 話を遮らずに最後まで話を聞く「傾聴」のステップを踏むことは重要なポイントです。 聞き終わった後には「わざわざお伝えいただいてありがとうございます」、「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません」、といった感謝と謝罪を伝えます。 患者さんの気持ちを理解していますという誠意を姿勢で表す必要があるでしょう。
複数人で対応する
クレーム対応の基本は複数のスタッフで対応することです。 スタッフが冷静にと努めても、1対1では相手の感情に巻き込まれることもあります。 そのような事態を防ぐために、クレームが発生した際には数人のスタッフで患者さんの話を聞く、話の内容をメモして主張や不満をしっかりと受け止めるなど役割を分担して対応しましょう。 真意や原因を究明して対応策を見出すためにも、不満を漏らさずかつ客観的に受け止めることが大切です。 数人であたることで、クレーム対応を的確にし、解決までの行程を迅速に行うことができるのです。
状況を記録し、ミーティングなどで共有する
些細な内容でもクレームを受けた経緯・理由などをメモしておき、次回クレームが発生したときに活かせるようにしましょう。
- 待ち時間が長い
- スタッフの態度や言葉使いが悪い
- 会計や支払い内容に疑問や不満がある
- 薬への説明がない
の4つです。 多くは改善点を見出せるものですが、時には明らかに機嫌の悪さをぶつけてきている言いがかり的なクレームもあるでしょう。 大切なのは、どのようなクレームであっても、慎重かつ真摯な態度で向き合うことと、 その対応法を記録し、処理後にはスタッフ全員で共有するミーティングを開くことです。 スタッフ全員が自分事として共有することで、次に同じことが起こらないように対策を打つことが可能になり、似たような事柄にも動じることなく対応できるでしょう。
クレーム削減に向けてクリニックができること
どんなに気をつけてクリニック運営を行ったとしても、クレームを完全に防ぐことはできません。 「クレームは必ず発生する」という前提で、柔軟かつ的確に対応できるよう心構えと仕組み作りをしていきましょう。
クレーム発生時の対応マニュアルを作成する
クレーム対応の目指す終着地点は同じことが起こらないようにすることです。 これまでに発生したクレームへの対応を、よくある事例対策法としてマニュアル化することは再発防止に向けた最善策です。 マニュアル化した対応策をクリニック全体で共有することで、クレームが発生した際の対応に安定感が生まれます。 スタッフにクレーム再発防止への意識が生まれることで、患者さんへの態度や言葉遣いの質が向上し、クレーム発生率が大幅に減少する効果もあります。
Web予約などのシステムを導入する
待ち時間の長さへの不満はどこのクリニックでも頻発するクレームです。 息をひそめて過ごさなければならないクリニックの待合室は、決して居心地がいいものではありません。 あとどれくらい待てばいいのか、全く予想がつかないことも不満へ繋がる原因のひとつでしょう。 こうした待ち時間へのイライラを大幅に削減してくれるのが、Web予約のシステムです。 診察時間までの目安を知ることで待ち時間のコントロールが可能となり、診察時間まで院外で過ごすことができるシステムは、クレーム引き起こす原因への有効な打開策となるのです。
初診は通常の診察より1.5倍の時間を確保する
システムの効率化やクレーム対応の体制を整えること以上に、重要視しなければならないのは医師のコミュニケーション力です。 実は患者さんが病院を変更する一番の理由は医師の対応、コミュニケーションへの不満なのです。 クリニックの顔である医院長との意思疎通が取れないことは、医療技術への不信、医師の人間性への不信となって根深いクレームに繋がります。 待ち時間やスタッフ対応へのクレームは誠意をもった対応改善によって収拾することが可能ですが、医師へのクレームは医院変更を決断させてしまうほどの深刻さを含んでいます。 医師は、その存在がそもそも患者さんを緊張させることを認識し、コミュニケーション力を磨いておく必要があります。 特に初診の際には、通常より1.5倍ほどの時間をとって、患者さんの話を親身に聞くことが大切です。 医師が親身になってくれるクリニックへの安心感と信頼は、待ち時間の長さを吹き飛ばすほどの力をもっています。
まとめ
クレームはあって当たり前と心構えをしたうえで、マニュアル化で情報共有、適切な対応を修得しておくなど、クリニックが一丸となって対策を練っていくことが大切です。 クリニッククレーム圧倒的ナンバーワン「待ち時間の長さ」さや、二度手間が多く煩雑化する紙ベースの問診票記入には、デジタルシステム導入など時代に応じた解決策がお勧めです。 スタッフの業務負担軽減やミスの削減などの大幅な改善が見込めるでしょう。 「どこでもマテル」では、web予約・待ち時間が確認できるため、待ち時間のイライラがなくなります。 待ち時間による不満をクレームの原因からカットすることで、クレームを受けるスタッフのストレスも一気に解消し、クリニックのスムーズな運営を可能にします。
- 参考サイト
- https://www.doctorsupportnet.jp/ds_mail/016.html「クレーム増加の背景と対応」
- https://www.insource.co.jp/contents/claim_kan1.html「クレームは必ず発生してしまう」
- https://www.insource.co.jp/contents/claim_kan1.html 「クレーム対応の基本は「お客さまの気持ちを知ること」」
- https://www.insource.co.jp/contents/claim_kan3.html 「基本手順1 相手の「心情を理解」してクレームをよく聴く」
- https://www.insource.co.jp/contents/claim_kan2.html「クレームには「組織」で立ち向かう」
- https://gentosha-go.com/articles/-/23400「(図)クレームに応じる際のポイント」
- href=”https://www.insource.co.jp/contents/claim_kan4.html#container1-sec3 「(1)業務知識やクレーム対応方法の標準化(一元化)」
- https://www.medicalforest.co.jp/blog/? p=1673 「診療予約システムができることは、待ち時間の目安を表示すること」
- https://bit.ly/2QHUbb6 「待っている間の体感時間を短くする」
- https://www.recruit-dc.co.jp/contents_feature/no1611b/ 「初診は通常の1・5倍の時間と手間をかける」